状況の予測と情報の提供
以前に考えられる可能性を知る - 多角的に捉える訓練という視点に関するアウトプットを行いましたが、その続きのようなお話です。誰かとコミュニケーションをするときや、誰かの作ったものを利用するとき・従うとき、自分以外の人間との関係性が生まれます。
コミュニケーションでいうと、
- 相手の置かれた状況
- 相手の立場
- 相手の持っている前提知識
- 相手の常識
- 相手の文脈
など様々な要素と自分自身が向き合うことになります。対人でなくとも、誰かの作った仕組みや制度に従う場合でも、
- 制作者の設計思想・設計意図
- 設計するための集められた情報
- 製作者の知識や能力
といったものと間接的に向き合うことになります。
状況の予測
コミュニケーションをする場合でもなにかの仕組みに従う場合でも、自分とは同一人物でない以上、必ず「相手」と「自分」は異なります。異なる=視点も異なるのです。(自分で作った制度に自分が従う場合を除く)
相手は視野を広く持とうと心がけたり、何かを作るとき可能な限りリサーチをし最善を尽くそうと努力するでしょう。しかし、人間なので完全・完璧は難しいものです。もしかしたら情報が不足しているのではないか?これを想定できていないのではないか?と予想できるようなケースと出会うこともあるでしょう。考えられる可能性を知る - 多角的に捉える訓練でも書いた「多角的な視点」がここでも役立ちます。
- 相手の置かれた状況
- 相手の立場
- 相手の持っている前提知識
- 相手の常識
- 相手の文脈
誰かの作った仕組みや制度の場合、
- 制作者の設計思想・設計意図
- 設計するための集められた情報
- 製作者の知識や能力
これらを可能な限り見通し、背景や文脈を理解した上で相手の視点に立つのです。
網羅思考と仮説思考
とはいえ時間は有限です。可能な限り見通すために時間を使いすぎると、時間切れでゲームオーバーになってしまうこともあります。ここでは「網羅思考」と「仮説思考」を状況に合わせて使い分けていくことになります。以下、仮説思考(内田和成 著)という書籍(のカバーそでの文)からの引用です。
情報が多ければ多いほど、よい意思決定ができる。このように信じているビジネスパーソンは多い。そうであるがゆえに、できるだけ多くの情報を集め、それらを分析してから、経営課題の本質を見極め、解決策を出そうとする。実際に起こることはなにか?時間切れである。徹底的に調べてから、応えを出すという仕事のやり方には無理がある。では、どうすればよいのか?仮説思考を身につければよい。
「網羅思考」とは「時間をかけできるだけ多くの情報を集めてしっかり分析し答えを出すスタイル」といったニュアンスの言葉であり、「仮説思考」とは「情報が少ない段階から、今ある情報だけで仮説を構築し検証していく思考スタイル」というニュアンスの言葉です。
相手のことや、仕組みや制度について知るために時間をかけ徹底的に調べることが適している状況もあれば、すぐに返答しないといけないなどフィードバックを返す制限時間があまりない状況もありえます。時間の猶予があれば情報を集めてから考察してよいし、時間の猶予がなければ現状の自分の視野内で得られる情報から仮説を構築・推理し、仮説をもとにフィードバックするのもよいです。状況に合わせ使い分けていきましょう。
情報の提供
もしかしたら情報が不足しているのではないか?これを想定できていないのではないか?と予想できるようなケースと出会うこともあるでしょう。
相手の視点に立ち深く考察した上で情報の不足が予想される場合、そして自分がその情報の一部を持っていると考えられる場合、それを提供することでより円滑なコミュニケーションになったり、先を見通された穴の少ない仕組みや制度にアップデートできるかもしれません。
補足:把握している上で明示していないだけの可能性もある
こちらから見えていないから「存在しない」とは限りません。何らかの理由で情報を持っている・把握しているにもかかわらずあえて伏せている、という場合ももちろんあるでしょう。その場合にしつこく情報提供するとトラブルのもとになるかもしれません。このあたりは注意が必要です。状況に応じて、視点の角度を変えつつ、提供しても問題ない・提供したほうがいいだろうと臨機応変に判断を変えつつ振る舞っていくのがオススメです。
この記事はGMOペパボデザイナー Advent Calendar 2022の14日目の記事でした。